秋葉原で購入した最初のアプリ
1984年にデビューしたMacintoshは、Lisaの影響を受けていたとはいえ互換性のない新たなプラットフォームだった。そのため、対応アプリを増やすには、本連載で先に取り上げたペイントツール「MacPaint」やワードプロセッサ「MacWrite」などのような、Apple自らが開発したGUIアプリをバンドルして、外部のソフトウェアハウスに手本を示す必要があった。
初期のサードパーティ製アプリで、そうしたAppleの意図をもっとも汲み取って、かつGUIの可能性を鮮やかに描き出してみせた製品が、この「FileVision」である。
FileVisionは、キャラクターベースのデータベースが当たり前だった40年前に、ドロー系のグラフィックツールで描いた図の各要素に対して固有の情報を割り当てることができる、画期的な製品だった。
実は、当時、筆者は大手シンクタンクに勤めていたTさんらと「Merge」という小さなソフトハウスを設立していた。
会社の資金が乏しい中で、Tさんは初代Macintoshを自腹で購入してスタッフが使えるようにし、筆者は、しばしば秋葉原の「オークビレッジ」という輸入ソフトショップまで出かけ、最先端のMacアプリを探して買ってくるという役回りだった。
その映えある最初の購入アプリが、このFileVisionだった。価格は、今では信じられないような6万円! しかし、これはソフトウェアハウスとして実際に触れて、その革新性を実感しておくべき研究対象だといえた。
目からウロコの地図やワイン管理
たとえば、FileVisionでは、アメリカの地図を州ごとに区分けして描き、それぞれの州のどの都市にコンピュータストアがあるのかを、実際に都市の位置にスタンプを付けて示すことが可能だ。
個々のスタンプは、店舗名や住所、扱い品目などのデータと紐づけされ、地図上のスタンプを選択してInfoボタンをクリックすることで、それらの情報を見ることができる。それだけでなく、必要に応じてスタンプのデザイン自体もユーザが編集できる仕組みになっていた。
あるいは、ワインセラーにあるワインを、FileVision内に描いた棚にスタンプで置いていくことで、〇〇年のシャルドネワインの実物がどの位置にあるのかがひと目でわかるようになる。
さらに、コンピュータストアの地図ならばMacの取扱店だけをハイライトしたり、ワインセラーの場合には特定年産のワインだけをピックアップしたりと、情報を柔軟に扱えるのである。
こうした機能性は、当時、本当に目からウロコが落ちる思いで、これからはこのような情報環境が普通になっていくのだなと、未来に思いを馳せたのだった。
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著者プロフィール
大谷和利
1958年東京都生まれ。テクノロジーライター、私設アップル・エバンジェリスト、神保町AssistOn(www.assiston.co.jp)取締役。スティーブ・ジョブズ、ビル・ゲイツへのインタビューを含むコンピュータ専門誌への執筆をはじめ、企業のデザイン部門の取材、製品企画のコンサルティングを行っている。









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