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“iPhone XS”と“XR”の変則的モデルチェンジ。一時的に復活した“S”付き後継機

著者: 大谷和利

“iPhone XS”と“XR”の変則的モデルチェンジ。一時的に復活した“S”付き後継機

iPhone Xと11の間に登場した機種

実はiPhone Xを取り上げたこの記事で、「iPhone 8の次にiPhone Xが出た」と書いてしまったのだが、実際にはiPhone 8とXが同時に発表されていたことを読者のH.Kさんから指摘され、当時の記憶が曖昧になっていたことを大いに反省した次第である。H.Kさん、ありがとう。正しくは、当時のAppleファンは、予想していたiPhone 8に加えて、いきなりiPhone Xまで発表されたことに驚いたのだった。

Appleはこのように時々、変則的な発表や製品のネーミングを行うので、メディア泣かせだったりする。そこで今回は、iPhone X(とiPhone 8 )の翌年に発表されたiPhone XSとXRを取り上げることにした。

Appleは、2009年のiPhone 3GS以降、2015年のiPhone 6sまで、スペースの有無や大文字・小文字の違いはあるものの、1年おきに名称にSを付けたマイナーバージョンアップモデルを発売してきた。しかし、2016年のiPhone 7の翌年には「iPhone 7s」は登場せず、いきなりiPhone 8(とiPhone X)となったわけだ。そのため、それ以降は、型番を毎年1つずつ上げていくのかと思ったところ、2018年のニューモデルの名称はiPhone XS(テン・エス)とXR(テン・アール)のように、やや逆戻りした感があった。




マイナー進化版と普及版

その理由を考えてみると、iPhone XはFace IDを搭載してノッチ付きのナローベゼルデザインになるなど、大きな進化が盛り込まれたモデルだったことが大きく影響したのだろう。1年後の後継機は以前のようなマイナーチェンジレベルの改良に留まらざるをえず、それを反映してXSと命名されたと考えるのが妥当だ。事実、XとXSの差は、プロセッサがA11 BionicからA12 Bionicになり、本体カラーが2色から3色に増え、512GBストレージ版が追加された程度に過ぎなかった。

一方で普及モデルのXRは、XやXSでは有機ELディスプレイと背面デュアルカメラを搭載しているのに対して、液晶ディスプレイと背面シングルカメラであるなど、コストダウンが図られていた。そのため、Rはレギュラーモデル的な意味で付けられたのではないかと推測する。

翌年のiPhone 11からは数字のモデル名に戻り、最新のiPhone 15に至るまで、型番を毎年1つずつ上げる命名法に回帰したが、上位の大型モデルをiPhone 6〜8までのPlusではなくMaxに変えたのもiPhone XS Maxからで、当時はかなり変則的に感じたものだった。さらに、iPhone 11からProモデルが加わり、iPhone 14からは標準モデルの大型ディスプレイ版の名称としてPlusも復活したので、一層ややこしくなっている。

iPhone XS/XRに話を戻すと、特にXRは(PRODUCT)REDを含めてiPhone 7以来の6色展開となり、コストパフォーマンスだけでなくファッション性重視の層にもアピールするように意図されていた。しかし、11以降はiPhoneのレギュラーモデルのカラーバリエーションを廉価版のSEよりも豊富にするなど、スマートフォンがコモディティ化する中でのマーケティング戦略にも微妙な変化が生じていることを感じるのである。

※この記事は『Mac Fan』2024年4月号に掲載されたものです。

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著者プロフィール

大谷和利

大谷和利

1958年東京都生まれ。テクノロジーライター、私設アップル・エバンジェリスト、神保町AssistOn(www.assiston.co.jp)取締役。スティーブ・ジョブズ、ビル・ゲイツへのインタビューを含むコンピュータ専門誌への執筆をはじめ、企業のデザイン部門の取材、製品企画のコンサルティングを行っている。

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