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macOS Tahoeで大進化した「クリップボード」を極める – Mac活用“ワンランクアップ”講座 第8回

著者: 海上忍

macOS Tahoeで大進化した「クリップボード」を極める – Mac活用“ワンランクアップ”講座 第8回

実は進化している「クリップボード」

コピー&ペーストといえば、Macどころかパソコン、スマートフォンなどコンピュータ全般における基本中の基本ともいえる機能です。マウスとキーボードの操作方法が“コンピュータ入門第1章第1項”だとすれば、コピー&ぺーストは第1章第2項、第3項あたりでしょうか。コピー&ペーストの概念を理解しなければ、コンピュータを使いこなすことは難しいでしょう。

一般的にOSにおけるクリップボードとは、一時的にデータを共有するためのメモリ領域で、動作しているすべてのアプリが参照できます。macOSではAPI機構の事情で「Pasteboard」と命名されていますが、クリップボードとしての役割は他のOSと基本的に同じです。

ただし、AppleはmacOS Sierraの頃から「Continuity(連続性)」という概念を重視するようになり、異なるデバイスとの間でもデータ共有を可能にする方向でクリップボードは独自の進化を遂げています。iOSデバイスとの間でクリップボードの共有を可能にする「ユニバーサル・クリップボード」は、その代表格といえるでしょう。

ユニバーサルクリップボード
iOSデバイスとMacの間でクリップボードを共有する「ユニバーサル・クリップボード」。




Spotlightとクリップボードの融合

そして2025年9月リリースのmacOS Tahoeでは、クリップボードはSpotlightとの融合を果たしました。これまでもクリップボードの内容は、Finderのメニューから[編集]→[クリップボードを表示]と操作すれば確認できましたが、TahoeのSpotlightでは概要の確認に加え、履歴を遡ることが可能です。

この説明ではなんのことやら…となりそうですが、書類を過去の状態に戻すmacOSの機能「バージョン」の要領でクリップボードを操作できる、と聞けばピンとくるかもしれません。

従来のクリップボードは、新たにコピー/カットしたデータで直前の内容が上書きされてしまいますが、TahoeではSpotlightを使うことで過去の状態のクリップボードにアクセスできるのです。

たとえば、Webブラウジング中に気になった文章をコピーしたはいいものの、数分後にうっかり他の文章をコピーしてしまったとき。元のページに戻ることができればいいものの、該当箇所を探すのに骨が折れます。

画像を範囲指定のうえコピーしたあとに、他のアプリでうっかりコピー操作してしまった場合も、クリップボードの履歴を遡れると非常に便利です。というのも、異なるアプリでクリップボードが関わるやり直し(リドゥ)はできないからです。

実装先がSpotlightなだけに、検索にも対応しています。画像などコピー対象がファイルの場合、ファイル名では検索できないといった制限はあるものの、対象がテキストの場合は全文検索できるため、かなり重宝します。気になる文章は手当たり次第にコピーしておき、あとから適当なキーワードで検索して目的の文章を探す、といった使い方も可能です。クリップボードの概念を変えてしまうほどのインパクトがある機能ですよ!

クリップボード検索
macOS TahoeのSpotlightバーは、[Command]キー+[4]キーで「クリップボード検索」に早変わり。
クリップボードの履歴
このようにクリップボードの履歴が表示され、検索も可能になります。

クリップボード検索の準備

クリップボード検索は、対象のデータに個人情報や機密情報が含まれる可能性が高いことから、デフォルトでは無効化されています。まずはSpotlightで初めて[Command]キー+[4]キーを押したときに現れるスイッチをオンにするか、「システム設定」アプリの[Spotlight]ページにある[クリップボード検索]スイッチをオンにして、機能を有効にしましょう。

クリップボードの履歴にアクセスするのはかんたん。キーボードショートカット(初期設定では[Shift]+[Command]+[スペース]キー)でSpotlightを呼び出し、[Command]キー+[4]キーを押せばOK。Spotlightバーに「クリップボード」の文字が現れ、最近クリップボードに取り込んだ内容(コピー/カットしたテキストや画像)の一部が表示されます。[↓]キーを押し続けると、しばらく前の履歴にもアクセスできます。

そして目的の履歴が表示されたら、あとは行の左端にあるコピーボタンをクリックするだけです。もし、クリップボードの履歴が増えすぎて見づらく感じた場合は、クリップボード検索画面の右上にある[…]をクリックし、[履歴を消去]を選択すればOKです。

最後に、注意点をひとつ。クリップボード検索の対象範囲は、コピー/カットでクリップボードに保存されてから8時間以内に制限されています。バージョン機能ほど過去に遡れないない点には注意しましょう。

クリップボード検索-2
初めて[Command]キー+[4]キーを押したときに現れるスイッチをオンにすると、クリップボード検索が有効化されます。
クリップボードの履歴のクリア
クリップボードの履歴を全クリアすることも可能です。




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著者プロフィール

海上忍

海上忍

IT/AVコラムニスト。UNIX系OSやスマートフォンに関する連載・著作多数。テクニカルな記事を手がける一方、エントリ層向けの柔らかいコラムも好み執筆する。執筆以外では、オーディオ特化型Raspberry Pi向けLinuxディストリビューションの開発に情熱を注いでいる。2012年よりAV機器アワード「VGP」審査員。

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