京都市は2025年度より、市立の小中学校および総合支援学校の全生徒と教師にiPadを配布しているとAppleが発表した。合計9万5千台以上のデバイスが導入され、教室での学びが大きく変わろうとしている。
この取り組みは、文部科学省が推進する「GIGAスクール構想」の第2期に合わせたもので、京都市教育委員会は「すべての学習者が自分らしく学べる環境づくり」を目指している。iPadの性能、携帯性、アクセシビリティ機能が高く評価され、225校に導入された。
AppleのCEO ティム・クック氏は、「教育はAppleのDNAに組み込まれている」と述べ、京都市の取り組みに深い感銘を受けていると語った。
特別支援学校での成功が全市導入のきっかけに
京都市教育委員会がiPad導入を決定した背景には、同市の8つの総合支援学校での成功体験がある。GIGAスクール構想第1期でiPadを導入した結果、障がいのある生徒が自信を持って授業に参加し、創造的な表現が可能になった。
この成果を受けて、教師や学校長、教育委員会による検討会議が発足。議論の末、iPadが最適な学習ツールであるとの結論に至った。
京都市教育委員会教育長の稲田新吾氏は、「先生方の声が決め手だった」と語り、iPadのハードウェア性能、直感的な操作性、優れたアクセシビリティが多様なニーズに応えると評価している。
教育アプリで広がる学びの可能性
京都市の教室ではすでに、iMovie、Keynote、GeoGebra、ロイロノート・スクール、micro:bitなどの教育アプリが活用されている。生徒は写真や動画で学びをまとめたり、数学の概念を理解したり、グループで探究活動を行っている。
京都市立御所東小学校では、3年生が近隣の飴工場を見学し、Keynoteで6コマ漫画を制作。プレゼンテーションのスキルも養われた。
担当教員の後藤文博氏は、「iPadを使うことで、子どもたちの表現方法が広がった」と語り、学びの主体性が高まっていると実感している。


アクセシビリティと個別最適化で、すべての生徒を支援
Apple製品には、音声コントロール、VoiceOver、ライブキャプション、視線トラッキングなどのアクセシビリティ機能が標準搭載されている。これらの機能は、障がいのある生徒、日本語指導が必要な生徒、不登校傾向の生徒など、多様なニーズに対応可能だ。
教師はiPadを活用し、個別最適化された支援を提供。生徒一人ひとりが自信を持って学べる環境づくりが進んでいる。

学力調査で全国平均を上回る京都市
令和6年度の全国学力・学習状況調査では、京都市立の小中学校が国語と算数・数学の両教科で全国平均を上回る結果を記録。教育の伝統とテクノロジーの融合が、学力向上にも寄与している。
京都市教育委員会は、生徒が「学びの当事者」となることを教育ビジョンに掲げており、iPadはその実現を支える重要なツールとなっている。
未来のリーダーを育てる──iPadが開くキャリアの可能性
iPadを通じて、生徒はプログラミング、プレゼンテーション、共同作業などのスキルを習得。将来のリーダー、アーティスト、イノベーターとしての可能性を広げている。
京都市は「6つの道筋」を提示し、教育の質向上に向けた改革を進行中。iPad導入は、単なるデジタル化ではなく、生徒一人ひとりの可能性を育む教育環境づくりの一環だ。

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