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“脱・iCloud”の急先鋒! 月額550円で使える無制限クラウドストレージ「HOZON」の魅力

著者: 大谷和利

“脱・iCloud”の急先鋒! 月額550円で使える無制限クラウドストレージ「HOZON」の魅力

毎年、新型モデルが発表され、特にカメラ機能の進化が著しいiPhoneでは、写真や動画のデータがストレージを圧迫しがちです。

そのため、「iCloud写真」機能を利用してストレージの最適化を図っているユーザも多いことでしょう。

iCloudは純正サービスなだけに使い勝手が良く、5GBまでは無料で使える反面、200GBを超えると利用料が月額450円から一気に1500円(2TB)に上がり、費用負担が大きなものとなります。

そうした悩みを解決するサードパーティのクラウドストレージはいくつか存在しますが、今回紹介する「HOZON」は、月額550円と低価格の定額ながら容量無制限、かつ、マルチプラットフォームで利用できる利便性を実現した大胆なサービスです。

この記事では、筆者の疑問に対する運営企業からのメールインタビューの回答も盛り込みつつ、この、良い意味で異色のサービスを紹介します。

ストレージサイズに悩む「iPhoneの買い替え」

筆者が今でも時々相談を受けるのは、iPhoneの買い替え時のストレージサイズについてです。

たいていの場合、写真や動画がストレージを圧迫していて、せっかくの買い替えなので容量に余裕を持たせたいが、上を見ればキリがなく、予算との兼ね合いもあって悩まれる方が多いといえるでしょう。

特に最近のiPhoneはカメラ機能の高解像度化や動画のProResフォーマットなどによって、イメージング系のデータが肥大化する傾向にあり、筆者自身の悩みの種ともなっています。

思い返せば、iPhone 3Gのカメラは200万画素に過ぎず、写真1枚あたりのファイルサイズは1.2MBほどでした。

しかし、最新のiPhone 16では最大4800万画素となり、ファイルサイズも1枚で約10MBに膨れ上がっています。

こうした背景もあり、HOZONを提供している株式会社テレステーションは、自社サービスのメイン販売チャネルとなっている携帯電話ショップを通じた情報収集によって、スマートフォンユーザのクラウドストレージサービスへのニーズの高まりと将来性を感じ、競合他社との差別化を重視して開発を始めたとのことです。



シンプルな料金プランとデザインによる差別化

iCloudもそうですが、DropboxやGoogle Drive、あるいは通信キャリアが提供するクラウドストレージは従量課金制を採用しています。

詳細はサービスによって異なるものの、たとえば容量が2〜15GBまでは無料で、200GBまでは月額400円以下で済んだりする反面、それ以上になると月額1300円の2TBプランか、さらに高いプランを選ぶ必要があったりと、費用負担増が避けられません。

そこでHOZONは、「3デバイスまでの容量無制限プランのWeb価格が月額550円の定額・自動バックアップ可能」という切り口で、ほかとの差別化を図りました。

また、やはり携帯電話ショップ網を活用してユーザの要望やフィードバックを拾い上げ、モバイルアプリのUIデザインをシンプルで使いやすいものにし、その後も、使い方で問い合わせが多い部分や、わかりにくいとされた部分、誤認されている部分を常に改良しているそうです。

無制限クラウドストレージ「HOZON」の魅力-1
ユーザからの要望を取り込む形でシンプルなUIデザインを採用したHOZONのホーム画面。

ところで、「定額・容量無制限」で気になったのは、写真・画像や動画のデータが自動的に不可逆圧縮され、デバイスに戻した際に画質が劣化してしまわないかということでした。

たとえば、Googleフォトでは、サービス開始当初は「元の画質(Original quality)」と「高画質(High quality)」の2つの保存オプションを選ぶことができ、「元の画質」では15GBの無料容量を消費しますが、実質的に非劣化に近い「高画質」は容量無制限で保存できていました。

しかし、2021年の6月1日以降は「高画質」でも容量を消費するように変更され、名称も「保存容量の節約画質(Storage saver)」と改めて、より圧縮率の高い不可逆圧縮が採用されたのです。

したがって、HOZONの大胆な価格設定を実現するにあたり、写真や動画ファイルは不可逆圧縮されるのではないかという点が疑問でした。

ところが、これは杞憂に終わり、画質はすべて維持されることがわかりました。

無制限クラウドストレージ「HOZON」の魅力-2
「JPEGで保存」をオンにしない限り、写真アルバム内のHEICフォーマットの写真はそのままバックアップされ、画質の劣化を防ぐことができます。

HOZONの機能的なメリットと制約

特に、初心者ユーザにとって安心なポイントは、自動バックアップ機能により、デバイス上で誤って消してしまったファイルをすぐに復元できるという点でしょう。

iOSデバイスからの自動バックアップは、iCloudを除くほかのクラウドストレージサービスでは原稿執筆時点で実現されていないため、大きなアドバンテージとなっています。

バックエンドのクラウドサービスにはAmazonのAWSを利用することで強固なセキュリティと高い信頼性を確保しており、データの耐久性は99.999999999%と、ほぼ100%に近いものです。

また、1アカウント3台まで登録可能なので、MacやiPad、あるいはWindows PCやAndroidデバイスともデータ共有したいというニーズにも応えられるのですが、iCloudのようなApple Accountによるユーザの縛りはありません。

そのため、その3台を仕事仲間などに割り振って、プロジェクト内のファイルシェアで利用するような使われ方もされているようです。

無制限クラウドストレージ「HOZON」の魅力-3
自動バックアップが行われる条件は、初期設定の段階で「Wi-Fi接続時のみ」、「充電中のみ」、「スリープ中のみ」から選択し、その後も必要に応じて変更できます。
無制限クラウドストレージ「HOZON」の魅力-4
バックアップのタイミング(頻度)も、「1日ごと」から「1カ月ごと」まで6段階で決めることが可能です。

ちなみに、自動バックアップされるデータは、iOSでは連絡先、写真・画像、動画、カレンダーであり、Androidでは連絡先、写真・画像、動画、音楽、書類となっています。

両OSで対象項目が異なるのは、それぞれのOSの制約やポリシーの違いによるものなので致し方ない部分ですが、写真・画像、動画のデータを中心に考えるならば、どちらも問題ない仕様でしょう。

「連絡先」と「カレンダー」のバックアップについては、上書きではなく、端末別、日付別に保存されるため、過去の特定日のデータを復元させることが可能であり、Androidの連絡先をiPhoneに映すこともできるので、機種変更時にも役に立ちそうです。

もう1つの制約としては、保存できる1ファイルあたりの最大サイズが5GBという点があります。

これについては、iCloudが50GBであるほか、DropboxやGoogleドライブでは2〜5TBまで対応するなど、HOZONは控えめに感じられます。

定額・容量無制限を実現するうえで、このような仕様にしたとのことですが、写真・画像や動画でいえば、4Kビデオのファイルで10分強、画質を調整すると1時間以上のものもバックアップできるので「普段使いには十分」というスタンスです。

以前に上限が2GBだったときには多かった容量アップの要望が、5GBにしてからは激減したとのことなので、一般ユーザの日常的な利用であれば、不足は感じないのではないかと考えます。

バックアップ状況は、種類別に日付や容量と共に確認することができます。

そして、新たなクラウドサービスへの切り替えを考えるユーザにとって、利用中のサービスからのデータの移行も大きな課題となりますが、HOZONは業界で唯一、iCloudからの直接データ移行を実現しました。

これの恩恵が大きいため、ユーザからはほかのクラウドサービスからの移行機能も実装してほしいという要望が多く寄せられており、そちらも検討段階に入っているそうです。

加えて、今後はフォルダのロックや共有閲覧フォルダの作成などもサポートしていきたいとのことで、現状に留まらず、これからも機能の充実が図られていくクラウドサービスといえるでしょう。

著者プロフィール

大谷和利

大谷和利

1958年東京都生まれ。テクノロジーライター、私設アップル・エバンジェリスト、神保町AssistOn(www.assiston.co.jp)取締役。スティーブ・ジョブズ、ビル・ゲイツへのインタビューを含むコンピュータ専門誌への執筆をはじめ、企業のデザイン部門の取材、製品企画のコンサルティングを行っている。

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