※この記事は『Mac Fan』2025年7月号に掲載されたものです。
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トラベルルータって一体なんだ?
今回紹介するTP-Linkの「TL-WR1502X」は、いわゆる“トラベルルータ”に分類される商品だ。皆さんはトラベルルータが何かご存じだろうか?
これは、一般的な“モバイルルータ”や“ポケットWi-Fi”とは異なり、本機自体にセルラー通信機能を持っていない。むしろ、家庭用Wi-Fiルータの小型版と考えると理解しやすいだろう。
また、電源が必要だが、一般的な家庭用Wi-Fiルータと違いモバイルバッテリでも動作するので、屋外でも使えるのが特徴だ。
最近は、スマートフォンのデータ通信量が増えているので、パソコンの通信もスマホのテザリングで十分なことが多い。そのため、モバイルルータを使う頻度も下がっている。
そんな現状だから、「ましてやトラベルルータなんて、使うシーンはあるのだろうか?」そんなことを思いながら、本機のレビューの仕事を受けた。
しかし、実際に使ってみるとなかなかどうして便利なアイテムだと思った。旅行時だけでなく、自宅でもさまざまなシーンでWi-Fiを活用できる“ユーティリティプレーヤー”として注目したい。


アクセスポイントとして使うことも、本機自体がルータ機能を担うこともできる!
まず、本機のもっとも一般的な使い方は、ホテルなどの宿泊施設にある有線LANを、Wi-Fiに変換する使い方だ。
現在ではWi-Fiを備えた宿泊施設が増えているが、昔からあるビジネスホテルなどでは、部屋のデスクに有線LANケーブルが備え付けられていることがある。
以前は重宝したが、今ではMacをはじめEthernetポートを持たないパソコンが多いし、iPadやiPhone、さらにはNintendo Switchなどを使う際にはWi-Fiのほうが使いやすい。
本機をLANケーブルと電源に接続し、自分専用のWi-Fiとして利用すれば、ビジネスホテルでの仕事も非常に快適になるだろう。
本機は、ルータに接続し、単にアクセスポイントとして使うこともできるし、本機自体がルータ機能を担うことも可能だ。
さらに、一歩踏み込んで、自宅の有線LANに本機を接続してNintendo SwitchやiPadなどを接続しておけば、外出先でも同じSSIDでWi-Fi接続ができる運用もできる。
実際に、自宅の1Gbpsくらい出るLANに本機を接続して試したところ、430Mbpsの速度が出た。理論上の最高速度は5GHz帯で1201Mbpsだが、実測で430Mbpsも出れば十分高速だ。動画視聴やビデオ会議も問題なく行える。
本機の設定や管理は、専用アプリ「TP-Link Tether」で行う。このアプリは、同社のほかのWi-Fiルータでも使えるため、自宅のWi-FiがTP-Linkであれば共通して使えて快適だ。



アウトドアでも、自宅と同じSSIDを利用できる!
本機は、上流の回線がLANでなくても利用できる。つまり、Wi-Fiルータやスマートフォンのテザリングを、USBケーブルやWi-Fiで「TL-WR1502X」に接続し、本機のSSIDで使うことが可能だ。
特にApple製品を中心に使っているユーザにとっては、テザリングが容易なのでニーズは少ないかもしれないが、ゲーム機やスマートスピーカなど、Apple製品以外のデバイスを一緒に持ち歩くなら、特定のSSIDに接続できるというのは便利だ。キャンプなどのアウトドアシーンでも活用するだろう。
ポータブル電源を持って行けば、アウトドアでHomePodやVision Proを使うことも簡単になる。多くのデバイスがWi-Fi経由で動作する今、自宅と同じSSIDを外出先でも使えるのは便利だ。

中継器としても使えるから、臨時でWi-Fiを拡張できるのがうれしい!
本機にはほかにもさまざまな活用方法がある。自宅でも役立つのが「中継器モード」だ。たとえば、子ども部屋など自宅のメインルータから離れた部屋にWi-Fiが届きにくい場合、本機を電源に接続して中継器モードで動作させることで、Wi-Fiの電波を中継し、同じSSIDでWi-Fiの届く範囲を拡張できる。
本機はモバイルバッテリで動作するので、庭やガレージなどWi-Fiが届きにくい場所でも、臨時でWi-Fiを拡張できるのだ。これは、ほかではできない使い方だろう。
筆者の家はガレージに電波が届きにくいので、ガレージで作業する間だけ、本機でWi-Fiを拡張して使った。
さらに、「クライアントモード」を使えば、本機をWi-Fiの受け手側として使うこともできる。たとえばデスクトップPCやテレビなど、有線LANしか使えないデバイスをLANケーブルで接続することで、Wi-Fiに接続できるようになる。
名前だけ聞くと“単なる旅行用ルータ”に思えるかもしれないが、多用途に使え、価格も非常にリーズナブルなので、アクティブなガジェット好きなら1台持っておくことをおすすめしたい。

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著者プロフィール
村上タクタ
Webメディア編集長兼フリーライター。出版社に30年以上勤め、バイク、ラジコン飛行機、海水魚とサンゴ飼育…と、600冊以上の本を編集。2010年にテック系メディア「ThunderVolt」を創刊。









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