※この記事は『Mac Fan 2025年5月号』に掲載されたものです。
「EAH-AZ100」では“生の音”が聴こえる
「Technics」は据え置き型のディスクプレーヤやアンプ、スピーカなども幅広く手がけるPanasonicのオーディオブランドです。
Technicsを代表する製品といえば、筆者にとってはDJに人気のターンテーブル、つまりアナログレコードプレーヤが思い浮かびます。
2020年以降、左右独立型のワイヤレスイヤフォンが一般化し、ラインアップも充実してきたことから、日常的に音楽を味わうために「音のいいテクニクス」を選ぶ若いファンが増えています。
今回検証する「EAH-AZ100」は、そんなテクニクスの新たなフラグシップモデルです。
テクニクス Technics ワイヤレスイヤホン EAH-AZ100-S シルバー ノイズキャンセリング 3台マルチポイント …
筆者はこの数年間、ワイヤレスイヤフォンのブームの中で年に約200機種の製品を聴いています。
そんな中でも、Technicsの「EAH-AZ80」というハイエンドモデルの艶のあるサウンドは気に入っており、長く使ってきました。
このAZ80がTechnicsのシグネチャーモデルになるだろうと思っていたところ、「EAH-AZ100」は筆者の期待をはるかに超える高品位なサウンドを体験させてくれました。
特に3つの魅力があります。
まず1つ目は「リアルな生音」を楽しめること。
録音された音源はイヤフォンやヘッドフォンなどをとおして聴くと、録音であることがわかってしまいますが、良質な音源を「EAH-AZ100」で聴くと、まるで「生の演奏に直に触れているような体験」が味わえます。
一方、あまり質の高くない音源はその素性を丸裸にしてしまうイヤフォンでもあります。
磁性流体の“再現性”
「EAH-AZ100」のサウンドが限界突破できた背景には、「磁性流体ドライバ」という新技術を搭載したことが挙げられます。磁性流体とは磁性を帯びた液体状の物質のこと。
イヤフォンの音の心臓部となるドライバを制御するボイスコイルというパーツの一部に磁性流体を採用し、音を生み出す振動板に凝らした工夫と合わせて、入力された音声信号に対する忠実な再現力を獲得しています。
歪みと滲みのないサウンドは、たとえば「人の声」の再現力に富んでいます。
楽器演奏の経験がある方はその楽器の音を収録した音源をぜひ本機で聴いてみてください。
リアリティに息をのむはずです。
2つ目の魅力は「高い遮音性能」です。
本機にはデジタル方式のアクティブノイズキャンセリング機能が搭載されており、強力な遮音性能を備えながらも、リスニングを妨げるプレッシャーがないため、長時間の音楽鑑賞が快適に楽しめます。
筆者は先日、飛行機の中で本機を試したところ、うなるエンジン音がピタリと静まりかえり、その実力に圧倒されました。
最後に3つ目は、「やさしい装着感」です。
耳甲介にフィットするイヤフォンは、思わず着けていることを忘れそうになります。
Technicsの豊かな経験がここに活きていることを実感しました。
早くも筆者は、本機を「2025年のイチオシ」に選びたくてうずうずしています。


テクニクス Technics ワイヤレスイヤホン EAH-AZ100-S シルバー ノイズキャンセリング 3台マルチポイント …
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著者プロフィール

山本敦
オーディオ・ビジュアル専門誌のWeb編集・記者職を経てフリーに。ITからオーディオ・ビジュアルまでスマート・エレクトロニクスの領域を多方面に幅広くカバーする。最先端の機器やサービスには自ら体当たりしながら触れて、魅力をわかりやすく伝えることがモットー。特にポータブルオーディオ製品には毎年300を超える新製品を試している。英語・仏語を活かし、海外のイベントにも年間多数取材。IT関連の商品企画・開発者へのインタビューもこなす。