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「OWC Thunderbolt 5 Hub」レビュー/デバイスの接続性と生産性が大幅アップ!

著者: 村上タクタ

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「OWC Thunderbolt 5 Hub」レビュー/デバイスの接続性と生産性が大幅アップ!

ついにThunderbolt 5到来

あなたのMacに搭載されている一番使用頻度が高いポートは、きっと「USB-C」という規格のコネクタだ。しかし、これはただの“USB-C”ではない。

非常に高速なLANやストレージ、そしてディスプレイへの接続を可能とする「Thunderbolt」という規格が使われている。

このThunderboltという規格は非常に優秀で便利だ。

2023年後半に発表された「Thunderbolt 5」では、従来の「Thunderbolt 4」の2倍となる80Gbpsの双方向通信が可能となった。

これにより、8K映像の表示、外部ストレージへの保存などが実現する。

また、給電規格としてUSB PD EPR(Power Delivery  Extended Power Range)に対応し、最大240Wの電源供給が可能になったのも特徴だ。

技術的な話を掘り下げると複雑になるが、簡単にいうと、“ディスプレイ、ストレージ、電源などを1つのポートで超高速で接続できる規格”ということになる。

さらに、Thunderboltは「デイジーチェーン接続」と「スター型接続」の両方に対応しており、接続の自由度も高い。

デイジーチェーン接続は、1つのポートから機器を順番につなぐ接続方法で、たとえばディスプレイやストレージを直列に接続できる。

一方、スター型接続はハブを中心に各機器を個別に接続する方式で、それぞれの機器を独立して利用できる利点を持つ。

しかし、Thunderboltはその自由度の高さがかえってわかりにくさを生んでいる。

同じUSB-Cポートを使うのに様々な速度、通信規格が存在するのも難しい。

Thunderbolt 5が使えるのは限られたMacのみ!

現行のMacでThunderbolt 5を装備しているのは、M4 Pro/M4 Max/M3 Ultraのみ。

つまり、MacBook Proと、Mac miniの上位チップセット搭載モデルと、Mac Studioのみだ。

Thunderbolt 5は、M4 Pro/Max、M3 Ultra搭載のMacBook Pro、Mac mini、Mac Studioのみに採用されている。また、「OWC Thunderbolt5 Hub」が搭載するThunderbolt 5ポートは合計3つで、デバイス接続用×2、PD(Power Delivery)対応最大出力数140W×1

性能を十分に発揮するためには、本体だけでなく、ケーブルやハブもThunderbolt 5規格に適合したものを使わねばならない。

Thunderbolt 5の規格は、自由度が高く、性能が劣るケーブルと混ぜて使うことができる。しかし、速度を必要とする部分には高性能なケーブルを用意しよう。
コネクタ形状自体は一般的なUSB-Cだが、高性能なThunderbolt 5ケーブルは非常に高価だ。同梱されているケーブルは大切に使おう。

また、電源的にも大きなものが必要になる。

たとえば、Thunderbolt 5ポートを3つフル活用すると、最大720Wもの電源供給が求められる。

そのため、USB-Aのように簡単にポート数を増やせるわけではなく、Macに搭載されているThunderboltポートの数も限られている。

さらに、Thunderbolt 5対応のハブはまだ少ないのが現状だ。

Thunderbolt 5ポートを3つ備える本機には、大容量の電源が必要だ。それゆえ、アダプタは大型になる。

条件にピッタリ! OWC Thunderbolt 5 Hub

その条件を満たす貴重なハブが、今回紹介する「OWC Thunderbolt 5 Hub」だ。

実は、筆者はこのモデルの旧型・Thunderbolt 4のタイプを持っている。

このハブにディスプレイやSSDをつなぎ、さらにアダプタを介して、USB-AやLANケーブル、マイク、カメラなどを接続している。

また、外出時にはMacBook Proを持ち歩き、帰宅後はこのハブに1本のケーブルをつなぐだけで、電源も含めてすべての機器を接続できる環境を構築しており、もはや必需品だ。

はたしてThunderbolt 5の速度が私に必要かという問題はあるが、手持ちのMacをThunderbolt 5対応機種に買い替えた場合、このハブの購入も検討する必要がある。

さっそく検証! 驚くほどの速さを発揮

では、実際にこのハブの速度を試してみよう。

検証には、Thunderbolt 5対応のM4 Pro搭載のMac miniと、OWCの「Envoy Ultra」の2TBモデルを使用した。

Black magicの「Disk Speed Test」で3回計測したところ、書き込み速度の平均が4701・0MB/s、読み込み速度の平均が5224・7MB/sというすさまじい結果が出た。

検証のためにOWCからお借りしたSSDが、「OWC Envoy Ultra」。Thunderbolt 5に対応した外付けSSDとしては見たことがないような速度を実現してくれた。

この数字だけ見てもピンとこないかもしれないが、一般的なHDDの速度が数10MB/s程度で、ネットで「おすすめ!」とされているリーズナブルな価格で買えるSSDだと2〜300MB/s程度が一般的。

OWCのThunderbolt 5接続SSDは、それをはるかに上回る性能を発揮しているのがご理解いただけると思う。

筆者は、OWCのThunderbolt 4接続のSSDも多く試してきたが、超高速なモデルでも2〜3000MB/s(それでも一般的な製品の10倍速い)だった。

これと比べてもこのハブを通じたSSD接続は2倍以上の速度を記録しており、まさに「内蔵SSD並みの速さ」といえる。

実際に、M4 Pro搭載Mac miniの内蔵SSDを計測したところ、書き込み速度は6355・7MB/sで内蔵のほうが速かったが、読み込み速度は5211・3MB/sと、本機のThunderbolt 5接続のほうが速いという結果が出た。

もちろん、ここまでの速度が必要かは用途によるが、ハブのスペックが高くないと、その先の速度は出ない。

映像系の仕事で2台以上の8Kディスプレイを接続する場合や、高速なデータ通信が必要な方にとって、本製品は必須の選択肢になるだろう。

著者プロフィール

村上タクタ

村上タクタ

Webメディア編集長兼フリーライター。出版社に30年以上勤め、バイク、ラジコン飛行機、海水魚とサンゴ飼育…と、600冊以上の本を編集。2010年にテック系メディア「ThunderVolt」を創刊。

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