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Nintendo Switch 2のサポートで話題。「microSD Expressカード」ってなんなのさ? 意外と知らない、SDカードの規格の話

著者: 関口大起

Nintendo Switch 2のサポートで話題。「microSD Expressカード」ってなんなのさ? 意外と知らない、SDカードの規格の話

Nintendo Switch 2が対応することで話題となった「microSD Expressカード」とは?

Nintendo Switch 2が発表された。その盛り上がりとともに、「microSD Expressカード」への注目が高まっている。「Nintendo Switch 2が対応するSDカードは『microSD Expressカード』のみ」という情報が解禁されたからだ。

この話を聞き、「一般的なmicroSDカード」と「microSD Expressカード」の何が違うのか疑問に思った方もいるだろう。そこで本記事では、意外と複雑なmicroSDカードの規格を整理していく。

なお、SDカードの形状がSD、miniSD、microSDの3種あることは前提知識として覚えておきたい。ただし規格に関しては共通することが多いため、本記事では総称してSDカードと書く。

SDカードは、容量ごとに“区分け”される。ラインアップは、SD、SDHC、SDXC、SDUCの4種類

SDカードは、その容量とファイルシステムで4つに分類されている。

【SD】容量:〜2GB、ファイルシステム:FAT16
【SDHC】容量:2GB~32GB、ファイルシステム:FAT32
【SDXC】容量:32GB~2TB、ファイルシステム:exFAT
【SDUC】容量:2TB~128TB、ファイルシステム:exFAT

SDカードの印字を見れば規格がわかる。写真●SD Association

なお上位規格に対応するデバイスは、下位規格のSDカードへの互換性を持つ。たとえばSDXCに対応するデバイスでは、SDやSDHCのカードも利用可能だ。

ちなみに、SDUCカードはまだ市場に存在していない。だが、米国ラスベガスで開催された「NAB Show 2024」にて、Western Digitalが「4TB SanDisk Extreme PRO SDUC UHS-Iメモリカード」を発表している。同カードは、2025年中にリリース予定だ。

データの転送速度を表す「スピードクラス」も4種類。SDカードの印字をチェックしよう

容量をもとにした分類のほか、SDカードは速度でも4つに分けられる。

【スピードクラス】
速度:2MBs〜10MBs、インターフェイス:SD
【UHSスピードクラス】
速度:10MBs〜30MBs、インターフェイス:SD
【ビデオスピードクラス】
速度:6MBs〜90MBs、インターフェイス:SD
【SD Expressスピードクラス】
速度:150MBs〜600MBs、インターフェイス:SD・PCIe/NVMe

端的に言うと、SD Expressカードは最速性能を持つ規格である。登場は2018年と比較的新しく、RAWでの連写、8K動画記録、超スローモーション、360度撮影といったハイアマチュアやプロユーザ用途を想定して設計されており、規格値では985MBsもの超高速性能を誇る。これはNVMs SSDに匹敵する速度だ。

なお上記のとおり、SD ExpressカードはSDのインターフェイスも搭載する。そのため、SDカードが挿入可能なデバイスでも利用可能だ。ただし、その速度はデバイスに依存するので注意したい。

各スピードクラスのインターフェイスと最低保証速度の一覧。なおスピードクラスは同じでも、細かく速度の違いがある。画像●SD Association
スピードクラスの印字。容量の分類名とともに、カード上にプリントされている。画像●SD Association

“間違えず”にmicroSD Expressカードを購入する方法。見分け方は印字と裏面の端子

SDカードは、サイズ、容量、速度で細かく種類が分かれている。今回、Nintendo Switch 2が対応したのは、microSD Expressカードだ。では、間違えて購入しないためにはどうしたらいいか。

答えは簡単で、SDカードの印字を注視すればいい。カード本体に「EX」と印字してあるものを選ぼう。ただし、SDカードではなくmicroSDだというのは前提だ。

あるいは手元にカードがある場合、裏面を見る方法もある。microSD ExpressカードはPCIe/NVMeインターフェイスを備えるため、背面の端子の数がほかのスピードクラスのSDカードよりも多い。

カード本体の「EX」という印字が目印だ。上図は「SanDisk microSD Expressカード – 128GB」(1万5180円)。

Nintendo Switch 2の対応カードが限定された理由。スペックアップとmicroSD Expressカードの性能

Nintendo Switch 2は、内蔵ディスプレイでフルHD(1920×1080ピクセル)/120fps。外付けディスプレイで最大4K(3840×2160ピクセル)/60fpsの映像出力に対応。可変リフレッシュレート機能も備え、滑らかな動きを安定して表現する。

一方の初代モデルは、内蔵ディスプレイでHD(1280×720ピクセル)/120fps。外付けディスプレイで最大フルHD(1920×1080ピクセル)/60fpsだった。比較すると、かなりのスペックアップだ。

ディスプレイサイズも6.2インチから7.9インチに拡大している。画像●任天堂

結果、従来よりグラフィックス処理が増え、SDカードとのデータやりとりも増加する。それゆえ、高性能なmicroSD Expressカードに限定したのだろう。すべては快適なゲーム体験を担保するためだ。

なおNintendo Switch 2の公式ページによると、Express以下のスピードクラスのカードを読み込めないわけではないようだ。

「『microSDメモリーカード』に保存された、Nintendo Switchの画面写真/動画のみ読み込むことが可能です」とある。つまり、データの保存先にはできないが、保存してある画面キャプチャや画面収録のデータの閲覧は可能ということだ。

注釈を見ると、「画面写真/動画のみ読み込むことが可能です」との記載がある。画像●任天堂

著者プロフィール

関口大起

関口大起

『Mac Fan』副編集長。腕時計の卸売営業や電子コミック制作のお仕事を経て、雑誌編集の世界にやってきました。好きなApple Storeは丸の内。Xアカウント:@t_sekiguchi_

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