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テクノロジーの進化と21世紀の「クリエイティブ・ルネサンス」

テクノロジーの進化と21世紀の「クリエイティブ・ルネサンス」

ルネサンスの再来

クリエイティブは今、大きな転換点を迎えている。2017年10月の「アドビマックス(Adobe MAX)」で、アドビシステムズのシャンタヌ・ナラヤンCEOは、それを「21世紀におけるルネサンスの幕開け」と表現した。

ナラヤン氏がルネサンスという言葉を選んだのには、ハッキリとした理由がある。14世紀~16世紀のルネサンスでは、芸術だけでなく科学技術も大きな発展を遂げた。レオナルド・ダ・ヴィンチという天才がモナリザを描き、その傍らでヘリコプターのアイデアを発明した時代だ。ルネサンスは、芸術と科学が同時に発展したことで歴史に残る転換期となったが、ナラヤン氏の頭の中には、これと同様のイノベーションが起き始めているという思いがあるのだ。

では、現代において転換の契機となるものは、一体なんだろうか。それはコンピュータテクノロジーの飛躍的な進化であり、実用的なAIの登場にほかならない。テクノロジーとクリエイティブが互いに影響し合うことで、新たな時代が訪れようとしているのだ。

AIがもたらすレバレッジ

「テクノロジーとクリエイティブの間にあるハードルを下げたい」。これは壇上のナラヤン氏が語ったアドビシステムズ(以下アドビ)のスタンスだが、実際、このイベントで披露された最新のアドビCC(Adobe Creative Cloud)は、その言葉を明確に裏づけるものだ。

たとえばそれは、AIを使って画像を解析し、風景写真と3Dモデルを融合させる「ディメンションCC(Dimension CC)」という新しいツールであり、ユーザがアップロードした画像に何が写っているかをAIが判断し、同じ被写体の素材をピックアップしてくれる「アドビストック(Adobe Stock)」というストックフォトサービスだったりする。

アドビは自社のAIテクノロジーを「アドビセンセイ(Adobe Sensei)」と総称しているが、最新のアドビCCには、アドビセンセイの技術がふんだんに取り入れられている。しかも、ユーザは背後にあるテクノロジーのカラクリを意識することなく、望んだ結果に最短距離でたどり着くことができる。まさにアドビCCによってテクノロジーとクリエイティブとの垣根がどんどん取り払われ、クリエイターの表現力を増幅してくれるようになった。

キャンバスの多様性

また、時代の変化を語るうえでは、「キャンバスの多様性」という要因も欠かせない。

既存の印刷物はもとより、PCやモバイルのスクリーンの中にも、はたまたVR空間の中にもキャンバスはあるし、ARでは現実世界にオーバーラップする形でキャンバスが現れる。これらのキャンバスにどうやってメッセージを乗せていくか、これも現代に生きるクリエイターの課題となる。

アドビはこうした課題を、最新のテクノロジーにいち早く取り組むことで解決してきた。「ドリームウィーバーCC(Dreamweaver CC)」や「ミューズCC(Muse CC)」、そして今回から正式にアドビCCファミリーに加わったUI開発ソフトの「XD CC」、これらのWEB/モバイル開発ツールは可変性のあるコンテンツ開発を容易に行えるようになっているし、あるいは「プレミア・プロCC(Premiere Pro CC)」では、新たにVRに対応した360度スクリーン映像の制作に対応した。アドビは時代のニーズを敏感に感じ取り、それをクリエイターが直感的に解決できるツールやサービスとして提供し続けている。

テクノロジーは道具

ナラヤン氏は、テクノロジーを「絵の具であり粘土であり、鉛筆である」と例えた。テクノロジーは道具に過ぎず、AI技術もまた然りということだ。クリエイティブの核となるのは、いつの時代もクリエイターの思い。「すべての人には伝えたいストーリーがある」。壇上でスピーチするナラヤン氏の背後には、そんなメッセージが映し出されていた。人々が伝えたいストーリーを、直感的な方法で形にできる環境を作り上げる、そんなアドビのミッションを象徴するフレーズだといえよう。

テクノロジーは道具に過ぎないものの、クリエイターはその道具について十分に知っておくことが重要だ。本特集では、アドビがもたらした最新のクリエイティブの姿を詳細に解説している。ページをめくりながら「デザインとテクノロジーの交差点」の形をぜひ感じ取っていただきたい。

2017年10月18日に米国ネバダ州ラスベガスで開催されたクリエイティビティに関する世界最大規模のカンファレンス「Adobe MAX 2017」の基調講演に登壇したAdobe Systems会長、社長兼CEOのShantanu Narayen(シャンタヌ・ナラヤン)氏。

Adobe Max 2017では、Adobe Creative Cloud(CC)が初めて登場した2012年以来の最大規模のアップデートとなるAdobe Creative Cloud 2018が発表された。

これからのデザインはAIや機械学習によって大きく変わる。Adobe Senseiはすでに多くのAdobe Creative Cloudに組み込まれ、クリエイティブの形を変えつつある。

2Dや3Dから、これからはARやVRへ。クリエイターが表現できるキャンバスはさらに広がり、デジタルエクスペリエンスを高めることがこれまで以上に求められる。