見送られたウェーブ2対応
iMacの利点は、Wi-Fiとギガビットイーサネットの両方が搭載されている点だ。まず、Wi-FiのスペックはIEEE 802.11acに対応しており、内蔵アンテナは3本装備しているので第1世代(ウェーブ1)11acとしては最大となる転送速度の理論値1.3Gbpsになる。同じ数のアンテナを搭載したアップル純正のAirMacエクストリームベースステーションの性能をフルに発揮できるはずだ。
しかし、第2世代(ウェーブ2)に対応は今回見送られた。ウェーブ2は、アンテナをもう1本増やして4ストリームにし、チャンネル幅も80MHzから160MHzに拡大することで、ワイヤレスでも最大6.93Gbpsの理論値を実現する規格だ。オーバースペックと思うかもしれないが、複数のデバイスを利用している場合、1.3Gbpsを分け合うよりは6.93Gbpsを分け合うほうが1台当たりの帯域が増えるため、大きなメリットはある。
iMacの構造を見ると、アンテナをもう1本内蔵するスペースは充分にある。明言はされていものの、iMacプロには実装されるかもしれない。もちろん、Wi-Fiアクセスポイント側も対応しなければ最大速度で通信できないため、AirMacシリーズのアップデートも行われるだろう。
アンテナは3本
写真は、iMacのディスプレイを取り外したところ。右上から右下にかけてのベゼル部分に装着されている金属パーツがWi-Fiアンテナだ。3本のアンテナを使う3ストリームに対応している。なお、背面アップルロゴにもケーブルが通っているがこれはブルートゥースのアンテナだ。 写真?iFixit
11acの規格
IEEE802.11acの規格は、ウェーブ1とウェーブ2がある。より高速化されたウェーブ2の対応ルータはまだ限られるが規格自体は2015年にフィックスしており、アップル製品への採用が待たれるところだ。
10ギガイーサネット
12月登場のiMacでは10ギガビットイーサネットが搭載される予定だ。コンシューマ向けのルータで10ギガビット対応製品はほぼないが、イーサネットがアップデートされるのは15年以上ぶり。
イーサネットで得られる安心
イーサネットポートはギガビット対応であり、これまでのiMacとして標準的なスペックとなる。次世代の10ギガビットイーサネットの実装はiMacプロを待つことになった。
iMacのメリットは、このイーサネットとWi-Fiの両方を使えることにある。数字のうえではイーサネットは1Gbps、11acは1.3Gbpsとワイヤレスのほうが勝っているが、それでも日常的な環境では電波干渉に伴う通信速度の低下は避けられない。さらに、ルータの信号処理性能も影響を受けるので、大量のデータ転送を行うときはトータルでは有線のイーサネットのほうが速い場合がほとんどだ。特に、タイムカプセル(Time Capsule)を使ったタイムマシン(Time Machine)からの復元作業では、アップル自体が有線接続を推奨しているほどだ。それというのも、Wi-Fiの場合はデータを電波信号に変換する手間がどうしても発生してしまうからである。
デスクトップに据置されるiMacなら、基本的にイーサネットを安定した有線接続として、Wi-Fiも同時に接続することでiOSデバイスとのハンドオフやエアドロップという連係が有効になる。特にエアドロップはWi-Fi接続がマストであり、いちいち切り替える必要がないのはとても便利であった。
有線も無線も使えるiMacのメリットを活用する
AirDropが快適
AirDropはMac同士、iOSデバイス同士、さらにMacとiOS間でファイルやデータをワイヤレスでやりとりできる機能で、Wi-Fi接続が必須となる。iMacならイーサネットとWi-Fiを両立できるのでインターネットは有線でつなぎながらAirDropも同時利用できる。
インターネット共有
複数のネットワーク接続経路を持つiMacなら、インターネット共有機能でiMac本体を簡易的なWi-Fiルータとして利用できる。たとえば、イーサネット経由のインターネット接続を内蔵Wi-Fiを使って「テザリング」のようにシェアできる。設定方法は以下のとおりだ。
(1)[共有]パネルを開いて[インターネット共有]を選び、[共有する接続経路]のメニューでイーサネットを選択。[相手のコンピュータでのポート]は[Wi-Fi]にチェックする。
(2)[Wi-Fiオプション]をクリックしてWi-Fiのチャンネルを設定する。[1]~[11]は2.4GHz帯、そのほかは5GHz帯、パスワードも設定しておこう。
(3)[インターネット共有]のチェックボックスをオンにする。確認ダイアログをよく読んだら[開始]をクリックすればOK。