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「仕事」で住む場所を決めない生き方・前編

著者: 四角大輔

「仕事」で住む場所を決めない生き方・前編

あなたが今、住んでいる場所はどうやって決めただろうか? 年に何度か行う「場所の制約を受けない働き方」をテーマとした講演でこの質問をしてきたが、参加者の9割以上が「住居=(自分またはパートナーの)仕事場へのアクセスが楽」というのに手を挙げた。

モバイルボヘミアンをテーマとする当連載では、「移動し続けること」で進化してきた人類の歴史について何度か触れてきた。ただ、我々の祖先は早くも狩猟時代に「獲物を獲りやすい場所」周辺に居を構え、農耕生活へ移行すると、より「住む場所=食うために便利な土地」という基準で生活してきた。そして、近年まで、それは逃れられない絶対的な常識となっていたと言えるだろう。

これまで、場所に縛られずに生きることができる人は、モンゴルなどの本物の遊牧民か流浪生活を続けるジプシー、もしくは引退した億万長者や、小説家や芸術家といった天才たちだけだった。

しかし、今はモバイルテクノロジーを使いこなすことで、都会や地方に限らず、ぼくのように街から20キロも離れた山奥の湖にいようと、世界を移動しながらでも仕事ができるようになった。であれば、住む場所を決める絶対基準はもはや「仕事」ではない、ということになる。

住む場所を仕事中心ではなく、「自分のライフスタイルを中心」に決めることができれば、必然的に「生きているすべての時間」を、そして人生そのものを、自分のものにしていくことができる。「自分は〇〇で暮らしたい」、「〇〇を中心に人生をデザインしたい」といった、あなたの本当の心の声に従って、まるで「アーティストのように生きる」ことができる時代に入ってきているのだ。

ぼくは、子どもの頃から「水辺と魚釣り」がなによりも好き。大学生で「湖でのフライフィッシング」に深く傾倒。世界中のナチュラリストたちの著書を読み漁る中で、米国の自然派作家ヘンリー・デイビッド・ソローの著書『森の生活』に出会う。それ以来、彼のように、いつか「人里離れた湖の畔で自然と共生するような暮らしをしたい」という夢を抱くようになった。

ぼくが暮らすニュージーランドの湖畔の森の気候と土壌は、菜園や果樹園に適していて自給自足ベースの暮らしが可能だ。湖では鮭のような大型マスが、近くの海では多様な野生魚が釣れる。移住前に15回この国に通い、この夢のようなホームプレイスに出会うことができた。

では、移住前に10年以上暮らした東京はというと、「ビジネスの拠点」なだけでなく、ぼくのライフスタイルに欠かせない「移動のための拠点」となっている。

ニュージーランドは、どこに行くにも不便だ。行きやすいのはオーストリアやポリネシアの島々だけ。片や、東京というのは、アジアや欧州、北米といった主要エリアへのアクセスが良く、羽田・成田空港をハブにすることで非常に効率よく、世界で、日本で、旅をしながら暮らし働くことができるのだ。(次号へ)

湖畔の自宅にて。最新のiPad Pro 12.9inch/1GBが最新の相棒。(Photo:YOSUMI's iPhone)

Daisuke Yosumi

レコード会社プロデューサーとして7度のミリオンヒットを創出後、インディペデントな人生を求め、ニュージーランドの原生林に囲まれた湖へ2010年に移住。現地で半自給自足の〝森の生活〟を営みながら、数ヶ月は世界中で〝移動生活〟を送る。エコ雑誌や登山雑誌などの連載、Instagram、著書、オウンドメディア〈4dsk.co〉をとおして、独自のライフスタイルシフト論を発信。大自然への冒険とアーティスト育成をライフワークとしながら、ベストセラー作家、会員制コミュニティ「Lifestyle Design Camp」学長、大学非常勤講師など複数の顔を持つ。最新刊に、クラウドファンディングで360万円を集めて話題となった『Lovely Green New Zealand 未来の国を旅するガイドブック』など。