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「アイランド」が教えてくれたこと・後編

著者: 四角大輔

「アイランド」が教えてくれたこと・後編

海という〝地球最大の自然〟が身近にある島にいると謙虚になれるものだ。逆に、自然と断絶された都会にいると、多くが人間性を失い、傲慢になってしまう。そうなるのは、都市空間にいると、自分たちが自然環境に依存して生きている実感を持てないからだろう。

海辺、森の中、大都市、どこに生きようが、人間というのは地球産の水・空気・食料のおかげで生命を維持できていることは言うまでもない。

世界各地にいる大地や海と共に生きる思想を持つ先住民のように、自然への感謝の気持ち、畏怖の念を持ち続けることができたら、人間という種族は決して「悪」ではないとぼくは信じている。たとえ、人類がこれまで犯してきた数えきれないほどの過ちを考慮したとしてもだ。

同胞である人間を大量虐殺したり、他の生物を絶滅に追いやったり、取り返しのつかないほど自然を破壊したり。いつもそういった罪を犯すのは大国だ。もしくは、大企業で働く者や、大きな建造物の中に暮らす者たち。そういう「大きなもの」の中にいると、それが自分の力と過信して、人は暴走を始めてしまう。

歴史を見るとわかりやすい。豊かな大海に囲まれた、本来は小さな島国であったイギリスも日本も、過去に自分たちを偉大だと勘違いしたがために、許され難い蛮行を繰り返した。さらに、経済力をもって人の道を外れた行為を続けたこともある。これら負の史実を、ぼくらは絶対に忘れてはいけないと思う。

ちょうど先日、ぼくのオンラインサロン会員の高校生3名が、世界で4番目に小さな国、ツバル訪問取材の報告会をやってくれた。温暖化による海面上昇で沈みつつあることで知られる、本当に小さなこの島国。ここでは自給自足が基本で、欧米型の貨幣制度がなかなか精神的に根づかないという。衣食住すべて、大自然からのいただきもので、それは独占すべきものではなく、シェアすべきものであるという哲学がベースにあるのだ。

その結果か、会った島民は誰も親切で、高校生3人組も1カ月の滞在でとても優しい気持ちになれたという。ぼくも、実際に小さな島を訪れると、より穏やかになれるから不思議だ。

最後に、ぼくが訪れたベストアイランドをご紹介したい。ツバルと同じ南太平洋ポリネシアにあるアイツタキ島だ。クック諸島(国名)のひとつで、人口わずか2300人。海の美しさ、人々の優しさ、食の豊かさにおいて他の追随を許さないほど素晴らしかった。

だが、ここに行くためには、ニュージーランド最大都市オークランドから約4時間、さらにそこから1時間ほど飛行機でかかる。日本からだとそれに約10時間のフライトが加わる。この不便さこそが、この島を守ってきたと言える。

ここに滞在している間、ずっとぼくの心は平穏だった。そうやって自分を取り戻すために、これからも島への旅を続けたいと思う。ぜひあなたも、心を失わないよう、小さな島へ旅してほしいと願う。

過去もっとも仕事がはかどったのが、ここアイツタキ島(Photo:YOSUMI's iPhone)

Daisuke Yosumi

レコード会社プロデューサーとして7度のミリオンヒットを創出後、インディペデントな人生を求め、ニュージーランドの原生林に囲まれた湖へ2010年に移住。現地で半自給自足の〝森の生活〟を営みながら、数ヶ月は世界中で〝移動生活〟を送る。エコ雑誌や登山雑誌などの連載、Instagram、著書、オウンドメディア〈4dsk.co〉をとおして、独自のライフスタイルシフト論を発信。大自然への冒険とアーティスト育成をライフワークとしながら、ベストセラー作家、会員制コミュニティ「Lifestyle Design Camp」学長、大学非常勤講師など複数の顔を持つ。最新刊に、クラウドファンディングで360万円を集めて話題となった『Lovely Green New Zealand 未来の国を旅するガイドブック』など。