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未来型モビリティへの期待・後編

著者: 四角大輔

未来型モビリティへの期待・後編

9カ国を訪れた2018年の世界移動生活のハイライトは、ポートランドだろう。川沿いのウォーターフロントと、今もっとも熱いとされるスポットの2カ所にAirbnbを借りて滞在。自然豊かで街はお洒落、飲食店や食材店のオーガニック率も高く、エシカルブランドも多数あり、完全にぼく好みだった。

米国における「住みたい都市ランキング」にいつも名を連ね、「環境に優しい」「ベジタリアンに適した」「出産しやすい」「自転車フレンドリー」「若者が暮らしやすい」というカテゴリーでは、全米1位になったこともある。

東京でいうと、表参道のようなファッションナブルなビル街、最先端のショップやカフェが連なる裏原宿的なハイセンスな住宅街が、狭いエリアに凝縮。トップクラスに上質でスピーディなUberを使い、約1メーター乗ればまったく違う街並みのエリアへ行ける。各国のモビリティ都市に必ずあった路面電車はやはり便利だし、乗り降りが簡単なバスは網の目のように街全体をカバーする。モビリティにおいては「さすが」の一言だ。

ぼくが暮らすニュージーランドを初めて訪れた、数名の旅仲間たちから「ポートランドに似ている」と言われたこともあり、ずっと行きたかった。そして、この街は、世界トップの「実験的モビリティ都市」と呼ばれているのだ。

欧州主要都市のシェアリング自転車や公共交通機関に関するレポートは、数度にわたって書いてきた。よって、読者の皆さんの頭には欧州の最新事情がインストールされていると思うが、この街には過去に見たことのない、衝撃的な乗り物が存在した。それは「シェアリング電動キックスケーター」という、最新のモバイルツールだ。しかも、すでに3社も参入済みだった。これが、驚くほど便利で使いやすく、そして楽しかったのである。

これまで世界中で利用してきたシェアリング自転車の大半が、利用開始時も返却時もドック(ステーション)に行く必要があったが、これは違った。「ドックレス」や「アンロック・アンド・ゴー」と呼ばれる方式で、乗り捨て自由なのだ。当然、自転車と同様に法的に駐輪OKな場所のみであるが、そこは日本の大都市と違い、アメリカだけあって、スケーターを置くスペースは無数にあった。

18歳以上で運転免許保持者、ヘルメット着用といったルールはあるが、操作はハンドブレーキとアクセルレバーのみで、「自転車より簡単」だ。iPhoneにダウンロードしたアプリを使いワンタッチで使用可能。GPS搭載なためアプリ上で近いスケーターを探すこともできる。日本の運転免許にも対応してくれたことが驚きだった。基本料金は1ドルで、速度も結構速くて25キロほど出た。とにかく最高だった。だが実際にはヘルメットを被る人はほぼいなく、法整備も追いついていないという。

ニュージーランドに戻ると、ここでも同じサービスが始まっていた。テクノロジーはいつも社会を牽引するのである。

これはシリコンバレー発の「BIRD」。ちなみにこれが1カ月半の旅の全荷物。(Photo:YOSUMI's iPhone)

Daisuke Yosumi

レコード会社プロデューサーとして7度のミリオンヒットを創出後、インディペデントな人生を求め、ニュージーランドの原生林に囲まれた湖へ2010年に移住。現地で半自給自足の〝森の生活〟を営みながら、数ヶ月は世界中で〝移動生活〟を送る。エコ雑誌や登山雑誌などの連載、Instagram、著書、オウンドメディア〈4dsk.co〉をとおして、独自のライフスタイルシフト論を発信。大自然への冒険とアーティスト育成をライフワークとしながら、ベストセラー作家、会員制コミュニティ「Lifestyle Design Camp」学長、大学非常勤講師など複数の顔を持つ。最新刊に、クラウドファンディングで360万円を集めて話題となった『Lovely Green New Zealand 未来の国を旅するガイドブック』など。