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iPhoneの買い替えどきを見極める

著者: 栗原亮

iPhoneの買い替えどきを見極める

iPhoneを毎年最新モデルに買い替える人もいれば、動く限り使い続けるという人もいるのではないでしょうか。AppleはiPhoneの製品寿命を一般的な利用環境で3年以上と想定しています。その間にバッテリの減りが早くなったりボタンの効きが悪くなるなどの劣化が進むこともあるため、少しでも操作感に不満を感じるようであれば買い替えを検討する絶好のタイミングと言えます。

また、通信キャリアのショップで購入したiPhoneを、2年ごとに買い替えている人も少なくないでしょう。しかし、この買い替えサイクルは通信キャリア側の販売戦略が背景にあります。「2年縛り」が廃止になった現在はiPhoneのリセールバリューを割り引いた分割支払いのプログラムも登場していますが、以前と比べると割安感は薄れています。

たとえば、Apple StoreでSIMフリーのiPhoneを購入して「格安SIM」を契約すると、キャリアの販売価格よりもお得になることがあります。新しいiPhoneの購入方法については、一度立ち止まって考えてみることをおすすめします。

iPhoneは2年ごとの買い替えが正解?

ドコモauソフトバンク楽天モバイルといった通信キャリアのショップで販売しているiPhoneは、分割支払いのプランで購入するケースが一般的です。2019年以前は、24カ月や36カ月の長期契約をする代わりに、基本使用料を割り引いて毎月の負担を下げることができましたが、指定された更新月以外に解約すると高額な違約金が発生する「2年縛り」の問題が指摘されていました。

現在は総務省の要請に応じる形で各キャリアは違約金の大幅な値下げや無償化を実施しています。一方で、契約から23カ月目の支払い時までにiPhone本体をキャリアに返却することを条件に、一定の買取価格分を分割支払金を割り引く「残価設定型の買い替えプログラム」が各キャリアから提供されています。このプランは2年おきに最新モデルを購入したい人には魅力的な内容ですが、利用中に付いた傷などによって返却時の買取価格が下がることもあるため、2年間累計の支払い額がお得になるとは限らない点は注意が必要です。

Appleでは環境に対する取り組みの中で、iOS搭載デバイスの使用年数を3年と想定したモデルを採用していることが明記されています。また、転売や譲渡についても想定されていて、実質的な耐用年数はそれ以上であると考えられます。
画像●https://www.apple.com/jp/environment/answers/

電気通信事業法の改正に伴い、2019年の9月30日以降の新規契約プランについては解約金が1000円または無料とする通信キャリアが増えています。ただし、法人契約についてはこの限りではありません。
画像●https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01kiban03_02000741.html
一般的な残価設定型買い替えプログラムのモデルでは、23回目の分割支払い時までにiPhone本体を返却すると分割支払金から残価が差し引かれ、月々の負担額を抑えることができます。

発表直後のタイミングで買い替えるのがおすすめ?

新品のiPhoneは、特別な理由がない場合は購入する場所によって本体価格が大きく変わることはありません。しかし、例年の傾向からは9月または10月に新モデルが発表された際に、これまで販売されていたモデルの一部が「型落ち」として価格が改定されて継続販売されることがあります。

最新モデルの機能や性能にこだわるのでなければ、このようなタイミングで購入するのもひとつの賢い選択と言えるでしょう。ただし、これまで使っていたiPhoneの買取価格は新モデル発表を境に下がっていくので、データを移行して手放すタイミングについても早めに考えておくことをおすすめします。

また、Amazon.co.jp楽天市場などの大手ECサイトでも最新のiPhoneを販売していますので、独自のセールのタイミングであればポイント還元などで実質的な負担額を下げることも可能です。

例年9月または10月にiPhoneの新モデルが発表されると、それまでのモデルの一部が販売終了したり「型落ち」として値下げが行われたりすることがあります。
AmazonなどのECサイトにおいても、「整備済み品」の販売が行われています。また、独自のセール期間ではポイント還元率が高くなってお得に購入できることもあります。

iPhoneの破損や不具合をチェックしよう

新しいiPhoneに買い替える際には、現在のiPhoneの状態をチェックしておきましょう。確認すべき項目はいくつもありますが、iPhone本体に傷などの破損がある場合や動作に不具合がある場合は、そのまま放置せずに故障原因の診断や修理をしておきましょう。トラブルが残ったままだと新しいiPhoneにデータが正しく引き継がれなかったり、中古で販売する際の査定額が下がることがあります。

一番手軽なチェック方法は、「Appleサポート」というアップル公式アプリで自分のiPhoneの状態を確認しておくことです。トピックごとのトラブルシューティングの情報を確認できるだけでなく、症状に応じて近くのApple Storeや正規サービスプロバイダなどに診断や修理を依頼することができます。また、ディスプレイが割れるようなハードウェアトラブルは、すぐに対応が必要です。

Appleサポート

【開発】
Apple
【価格】
無料
【備考】

App Store>ユーティリティ

「Appleサポート」アプリよりApple IDでサインインし、[マイデバイス]から登録済みの自分のiPhoneを選択します。

「Appleサポート」アプリよりApple IDでサインインし、[マイデバイス]から登録済みの自分のiPhoneを選択します。

サポートトピックのカテゴリから該当する症状を選択していき、修理が必要とされる場合は近くのストアを検索してApple Storeや正規サービスプロバイダに修理や診断を依頼できます。

サポートトピックのカテゴリから該当する症状を選択していき、修理が必要とされる場合は近くのストアを検索してApple Storeや正規サービスプロバイダに修理や診断を依頼できます。

iPhoneのディスプレイが割れてしまうような破損の場合、タッチセンサ類の故障を引き起こすだけでなくガラスの破片による怪我のリスクがあります。この場合は、時期を待たずに修理交換を行いましょう。

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バッテリ状態の診断方法

iPhoneの買い替えを検討する理由として、バッテリ駆動時間が短くなったことを挙げる人もいるでしょう。こまめな充電やモバイルバッテリによる対策も可能ですが、バッテリの経年劣化が進むと予期せずシャットダウンするなど動作の不安定さにつながります。

iOS 13以降では毎日の充電傾向を学習して自動的にバッテリ寿命の延長を図る「バッテリー充電の最適化」機能が搭載されているので、基本的にメンテナンスの必要はありません。しかし、バッテリの劣化の目安として、[最大容量]の割合が購入時の80%を割り込むようであればバッテリ交換サービスや買い替えのタイミングを迎えたと考えてよいでしょう。

なお、バッテリ交換で延命する場合は、AppleCare+の保証が有効であれば無償で実施できることが多いですが、それ以外の場合は有償となります。交換費用はモデルにより異なり、たとえばiPhone 12シリーズであれば1万2800円が交換の基本価格となります。

「設定」アプリの[バッテリー]をタップするとiPhoneのバッテリ残量の推移などを確認できます。ここで[バッテリーの状態と充電]を選ぶと、[最大容量]の項目で新品と比較した現在の再大容量が表示されます。
バッテリの最大容量が80%を切るようであれば、バッテリ交換のタイミングです。AppleCare+に加入している場合は無償でバッテリ交換でき、それ以外の場合も有償で交換サービスを申し込めます。
画像●https://support.apple.com/ja-jp/iphone/repair/battery-replacement

ストレージ容量を確認しよう

iPhoneのストレージ容量が不足していると、写真やビデオが保存できないだけでなく動作全体が遅くなるなど不安定さが増す傾向があります。その場合は、「設定」アプリからストレージの使用状況を確認し、空き容量が少ない場合には買い替えの際に容量に余裕のあるモデルに移行することをおすすめします。

また、現在どのような種類のデータによってストレージ容量が圧迫されているかも確認できるので、必要に応じて不要なアプリのアンインストールや過去のメッセージなどを消去して空き容量を確保できます。なお、iCloudは5GBまで無料で利用できますが、有償のiCloud+またはApple Oneにアップグレートすると撮影した写真やビデオなどを自動的にiCloud Driveに移動してiPhone本体のストレージ不足を解消できます。

「設定」アプリの[一般]→ [iPhoneストレージ]をタップすると、iPhoneのストレージ容量と空き容量がグラフィカルに表示されます。ここから古いメッセージを自動削除するなど、空き容量を確保する設定を有効にできます。
「設定」アプリで自分のApple IDをタップして[iCloud]を開くと、契約したiCloud Driveの利用状況が表示されます。残りの容量が少ない場合は[プランを管理]で有料のiCloud+へのアップグレードなどを検討しましょう。

※この記事は『Mac Fan』2023年10月号に掲載されたものです。

著者プロフィール

栗原亮

栗原亮

1975年東京都日野市生まれ、日本大学大学院文学研究科修士課程修了(哲学)。 出版社勤務を経て、2002年よりフリーランスの編集者兼ライターとして活動を開始。 主にApple社のMac、iPhone、iPadに関する記事を各メディアで執筆。 本誌『Mac Fan』でも「MacBook裏メニュー」「Macの媚薬」などを連載中。

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